[源氏物語あらすじ]第四巻「夕顔」

投稿日:2018-02-17 更新日:

【源氏、病気の乳母を見舞い、夕顔に出会う】

 

光源氏が六条あたりに住む恋人のところに密かに通っている頃、乳母(高貴な人の育ての親)が重い病気を患い尼となっているのを見舞おうと、五条にある乳母の家を訪ねた。

乳母の子である惟光が錠を開けるのを待つ間、みすぼらしいこのあたりの通りを眺めていると、粗末な板塀に美しい白い花をつけたつる草が絡まるのを見つけた。

源氏は略式の車に軽装で来ていたので、自分を誰と分かる人もいるまいと気を許して「そこに咲くのはなんの花」とつぶやく。

護衛が「貧しい家の垣根に咲く夕顔という花です」と答えるのを聞き「一房折ってまいれ」と命じると、家の中から可愛らしい童女が出てきて、香を焚きしめた白い扇を手に「この上に花を載せて差し上げてください」と言う。

扇には風流な筆跡で歌が書き流してある。それが光源氏と新しい恋人 夕顔との出会いであった。

 

【夕顔との歌のやり取り】

 

乳母の見舞いを終えた源氏が扇を見ると、

― 心あてにそれかとぞ見る白露の
ひかりそへたる夕顔の花 ―

もしかして源氏の君でしょうか。白露に濡れた夕顔の花のように美しいそのお顔は。

とある。

源氏は思いのほか興をそそられ、懐紙に自分の字と分からぬようわざと筆跡を変えて、

― 寄りてこそそれかとも見めたそかれに
ほのぼの見つる花の夕顔 ―

近寄って確かめたらいかがでしょう。たそがれの薄明りにほのかに見た夕顔の花の正体を。

という歌を書き付け先ほどの護衛に届けさせ、自分に歌を贈った謎の女の正体を惟光に探らせるのだった。

 

【雨夜の品定めで聞いた「中流の女、下流の女」への興味】

 

つい先ごろ中流の女 空蝉に拒まれた源氏はこのままでは負けた感じがして癪である。

夕顔の女はあの雨夜の品定めで言われていた下流の女に当たるだろう。

そんな中から思いがけなく悪くない女を見つけたらどんなによいだろうと心が弾む。

以前ならこういう身分の女性には思いをかけたこともないのに、雨夜の品定め以来あらゆる階級の女性に興味と関心を抱く源氏なのだった。

一方、上流の女性である正妻 葵の上や、六条に住む御息所の元への源氏の足は遠のく。

葵の上の父左大臣は恨めしく思い、自尊心の強い六条御息所は情けなく恥ずかしいことと胸を痛めていた。

 

【惟光、夕顔の女の正体をなんとなく突き止める】

 

惟光の報告を聞き、源氏は「夕顔の女は雨夜の品定めで親友である頭の中将が話していた、”子どもまでなしたのに突然行方不明になった女”かもしれない」と考える。

惟光にうまく手引をさせ、夕顔の元に足繁く通うようになった。

光源氏であることがばれないように、身をやつして顔を見せないようにして訪れる男を、夕顔の家では気味悪く思いながらも受け入れるのだった。

 

【夕顔の性格】

 

夕顔は光源氏の正体をはっきりとは分からず怖がりながらも、源氏のことばを信じ素直に従う。

頭の中将が話していた通り、夕顔はほっそりと華奢で、たおやかでいじらしく、ひたすら可愛らしく感じられる。

落ち着いた場所でふたりきりでゆっくり過ごしたいと考えた源氏は、夕顔を車に乗せ、夕顔の乳母子である右近だけを伴って粗末な家を抜け出す。

 

【八月の夜、五条近くの某の院にて】

 

一緒にいる男の素性も分からず、これからどこへ行くとも分からず、夕顔は気が進まず怯えているが、ふたりは五条近くの荒れ果てた某の院に到着する。

源氏はそこで初めて顔を見せ正体を明かす。

不気味な屋敷に震えていた夕顔が次第に打ち解けてきた様子もとても若々しく可愛らしい。

「こんなに夢中になるなんて我ながら不思議な心よ。六条御息所ももう少し、高すぎる自尊心やこちらが窮屈になる堅苦しさを捨ててくれたら」などと、ついふたりを比べてしまうのだった。

 

【某の院に物の怪があらわれ、夕顔を取り殺す】

 

夜、源氏がまどろんでいると、枕元にぞっとするほど美しい女が座っている。

「私がこんなにお慕いしているのに捨ておいて、こんなつまらない女に夢中になるとはあんまりです」と言って、源氏の傍らに眠る夕顔を引き起こそうとする…という夢を見る。

うなされて目を覚ますと、ふっと明かりが消えて真っ暗になる。

不気味な静寂の中、源氏と右近が明かりを近づけて夕顔を見ると、彼女は息絶え、冷たくなっていた。

泣きじゃくる右近を慰めながら惟光と相談し、夜のうちに東山あたりの山寺に夕顔の亡骸を運ぶことになる。

 

【泣く泣く二条院に帰るも病気を患う源氏、夕顔の正体を知る】

 

夕顔の亡骸に付き添いたいものの、人目につかぬうちに二条院に帰るべきだと惟光に言われた源氏は、茫然自失のまま自邸に帰る。

体調を崩して寝込んでしまい、帝も左大臣家も大騒ぎで源氏のために加持祈祷などを行う。

1ヵ月ほどして回復した源氏は、右近に夕顔の身の上を全て尋ねる。

あの頼りない感じがした夕顔は19歳で自分より2歳年上であり、そしてやはり雨夜の品定めで頭の中将が話した女なのだった。

幼子がいるはずだと右近に尋ねると2歳くらいの女の子がいるというので、頭の中将に教えてやっても良いのだが自分が責められるのではとの懸念から、内密に自分が引き取ることに決めるのだった。

 

【夕顔の四十九日の法要と夕顔の家の様子、その後】

 

夕顔の四十九日の法要は比叡山の法華堂でしめやかに行われた。

何もかもおろそかにはせず、細やかに気を配った。

源氏はその後、頭の中将に会うと幼子の様子など教えてあげたいと思うものの、話すと頭の中将から責められるだろうと恐ろしくて黙っている。

夕顔の住んでいた五条のさびれた家は主が突然消えたことに困惑しきっていたが、何の手がかりもなく探すことさえできずにいる。

右近もあの家に帰るわけにはいかず、そのまま源氏に仕えている。

四十九日の明くる夜、あのときの某の院の物の怪がそっくりそまま源氏の夢に出てきた。

やはり、秘密の恋は何かにつけて苦しいものだとしみじみと思う源氏であった。

 

“超個人的感想”

 

この「某の院の物の怪」の正体は昔から色々言われているが、私は六条御息所だと思う。

物の怪が出てくる直前、源氏は「夕顔はおっとりと無邪気で可愛いなぁ。六条御息所はプライドが高くて一緒にいると息苦しくて窮屈なんだもん。そういうトコなおしてくれたらなー」と考えている。

これはもう、単なる「浮気、遊び心」として寛大な心で許してやるには余りあるひどい仕打ちである。

「女と女を比べる」これだけは古今東西、往古来今、絶対にしてはいけないタブーなのである。

男性読者はさらっと読み流す。女性読者は源氏にイラっとする。作家紫式部の腕前である。

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