[源氏物語あらすじ]第二巻「帚木」

投稿日:2018-01-24 更新日:

【雨夜の品定め】

光源氏17歳、三位中将の頃のこと。

源氏は相変わらず宮中にばかりいて、婿に入った左大臣家にはたまにしか出かけない。

左大臣の息子であり、源氏の正妻”葵の上”の兄でもある頭の中将は、学問も音楽の遊びもいつも源氏と一緒。また、何かと張り合い、源氏にも引けをとらない、一番の親友であり一番のライバルだった。

 

五月雨の続く夜、宮中で宿直(とのい)する源氏と今日も一緒の頭の中将は、源氏の傍らの厨子にある様々な手紙、特に女性から源氏への文が気になってたまらない様子である。

「見せろよ」「いやいや。では読まれても差し支えないものなら」「差し支えあるものほど見たいのだが。お、これはあの女からの文か?」などと言い合っているうちに、これまで交際した女の話になってくる。

浮気者の親友の語る理想の女性像を聞いていると、そこへ左馬の頭藤式部の丞もやってきた。頭の中将はふたりを喜んで迎え、女の品定め議論は白熱する。

【源氏、中流・下流の女性への興味を抱く】

 弁論博士 左馬の頭 談:

地方の政治だけに関係している受領など、中流のあたりからちょっといい女を掘り出すのが良い。

非参議の四位あたりの人で、世間の評判も悪くなく、元々の素性も悪くないのがゆったりと暮らしているのは良いものだ。

暮らしに不自由していなくて、思い切り金をかけて大切にされてる娘などが見事に成人しているパターンがある。

また、稀に人が住んでいるとも思われない寂しい荒れ果てた草深い家に思いもよらぬ可憐な人が住んでいることもある。

どうしてこんなところにこんな女が、と心を捉えられてしまう。

ちょっとした芸事にしても、少し才能があっただけでギャップから興味をそそられる。

これはこれでなかなか捨てたもんじゃない。 

【個性的すぎる女たち】

左馬の頭
物凄いヤキモチ焼きの女と付き合った。最終的に指を噛まれた。

 左馬の頭
色っぽい女と付き合った。浮気された。

頭の中将:
自己主張しない女と付き合った。子どもまで生まれたのに、行方不明になった。

藤式部の丞:
博士の娘であるすごい才女と付き合った。師弟関係みたいになった。

光源氏は終始聞き役に徹しながら、父桐壺帝の若い妻であるあの藤壺の宮こそ、すべてにおいて過不足のない稀有で完璧な理想の女性であると思い、恋しさで胸が締め付けられるのであった。

ここで頭の中将が話した自己主張しない女は後に「夕顔」として光源氏と出会い恋に落ちる。

【方違え 空蝉との出会い】

 ようやく長雨もやんだころ、宮中ばかりにいては左大臣も心配だろうと、源氏は左大臣邸に退出する。

屋敷の有様も妻 葵の上の人柄も、すっきりと上品に整っていて、雨夜の品定めで友人たちの言っていた誠実で信頼のおける理想の女性に当たるのだろと思いながらも、源氏はどこか物足りない思いを抱えていた。

暗くなるころ、左大臣邸が陰陽道でいう悪い方角に当たっていることに気付き、紀伊の守の家に方違えすることになる。

紀伊の守の家には、彼の父親である伊予の介の家に物忌みがあったことから、伊予の介家の女性たちが訪れていた。

源氏は「友人たちの言っていた中流の家というのはこれくらいの家を言うのだろう」などと考える。

伊予の介は妻に先立たれ、若い後妻 空蝉を貰っていた。

紀伊の守の子どもたちに混ざる123歳くらいの少年(小君)の姿が見える。彼は空蝉の弟である。

眠れないでいる源氏が聞こえてくる物音に盗み聞きすると、先ほど見た小君が姉 空蝉とひそひそ話をしている。

小君が立ち去ったようなので、源氏は空蝉の部屋に忍び込む。

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【空蝉、光源氏を固く拒む】

忍び込んだ部屋には小柄な女性がひとりで眠っていた。

「ずっと好きだったのですよ」と言う源氏に驚く空蝉は声を出すこともできない。

抱きかかえて部屋を出ようとしたところに空蝉の女房 中将の君と鉢合わせるが、源氏は「明け方迎えに来なさい」と襖を締め切ってしまう。

空蝉は間近で見る光源氏のあまりの美しさや違い過ぎる身分、年齢差、また夫のある我が身を憂い、どれだけ可愛くない女と思われようとも構わない、と、ひたすらすげない態度で押し通したのだった。 

【空蝉の代わりに弟の小君を引き取る】

 一夜を共にしたものの、再びの逢瀬どころか空蝉に文を送る手立てさえないことを源氏は苦しく思う。

特別美しいわけではないが、すべてにおいて慎み深くたしなみが備わっていた空蝉を思い出し、「左馬の頭が中流の女に掘り出し物があると言ったのは当たっていたな」と納得する。

会えない空蝉の代わりに弟の小君を引き取って特別に可愛がり、姉への文を託す。

誰にも知られたくない秘密を弟に知られた空蝉は我が身を恥ずかしく情けなく思い、文への返事もしない。

下の身分だからといささか相手を蔑視していた源氏は意外に強い抵抗にあい、かえって忘れがたく思うのだった。 

【源氏、「狙って」再び方違えする】

 源氏は次の方塞がりを待ち、再び紀伊の守家に方違えする。

小君にも手はずを話し、空蝉にも手紙で知らせていた。

空蝉はあんな辱めにあうのは二度とごめんだと、体調がすぐれないからと言って女房達のたくさんいる部屋にこっそり身を隠してしまう。

とはいえ、心の内では「伊予の介の妻という身分になる前に亡くなった両親の遺した生家にいるときにたまにでも光の君が通ってくださるのを待つ身だったら幸せだったろうに」と嘆く。

源氏は頑なに拒む空蝉との逢瀬を諦め、小君を傍近くに寝かせるのであった。

第二巻「帚木」の「超個人的感想」

 この有名な「雨夜の品定め」は、ありえないよねーという、理想的というより非現実的な、奇跡としか言いようのない女性像を話しているけれど、たぶん、現代の男性もうなずける部分があるだろう。

1000年前から大して変わってないんだな、と思う。そしてこれを書いた紫式部は女だというところが、ちょっと怖い。

あらすじだから相当端折ってしまったけれど、いつか雨夜の品定めだけでガッツリ書きたい。

過去に付き合った「ヤバい女たち」が4例出てくるけれど、その中の3例目の「自己主張しない女」が布石になっているところもまた憎い。

後に光源氏の恋人候補として再登場する夕顔を、読者は頭の中将の話を信じて、先入観を持って見るだろう。

先入観を持つという意味では源氏も同じ。

でもこの夕顔、頭の中将の言ってたイメージと違うのである。

品定めでこれだけ男心を描写しておいて、紫式部は言うのだ。

 

「男は女のこと全然わかってない。表面しか見てない。夕顔が自己主張しない儚げで弱々しい女? ふふん」

 

って。

紫式部。恐ろしい人。

詳しいことは 下記リンク”和歌が与える「人を豹変させる力」”をご参照いただきたい。

[夕顔] 和歌が与える「人を豹変させる力」-①-

[夕顔] 和歌が与える「人を豹変させる力」-②-

 巻名の「帚木」は光源氏が空蝉に贈った歌、「帚木の心を知らで園原の道にあやなくまどひぬるかな」から。

信濃国園原伏屋にある、遠くから見れば箒を立てたように見えるが近寄ると見えなくなるという伝説の木。

絶対に会おうとしない空蝉の心を帚木に例えた。


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